庶民の光

近くにラーメン屋さんが二つならんでできた。一つは光壁を象徴的に洗練されたデザインの店。もう一つは、木調で和風、ちょうちんを使ったデザインの店。坦々麺とトンコツの違いはあるが単価的には同じぐらいである。いわゆる庶民価格である。それに、どちらも別に超有名店でもチェーン店でもない。だから、味もまだどちらがおいしいか分らないはずなのに、オープンそうそうどちらの店が流行っているか見てみると、後者のちょうちんの方が流行っているのである。あきらかにお客さんが多いのである。照明的にもデザイン的にもあきらかに凝っている店よりもちょうちんの方が勝っているのである。ラーメンは庶民の味である、気軽に入れる光がちょうちんなのかもしれないし、ちょうちんの赤く柔らかいひかりは、食欲をそそる効果もある。それに対して、光壁や床からのアッパー照明は、高級感とともに非日常性も演出してしまっているのかもしれない。必ずしも洗練されたデザインがお店を流行らせるわけではなく、その店のもってるイメージがデザインにあらわれていないとなんの意味もないのかもしれない。デザイナーは自分のデザインセンスだけでデザインするのであれば、それは店舗デザインではなくただの作品にしかすぎないのである。