照明デザイナー新人編

何気なく入ってしまった照明の世界。三ヶ月に及ぶ新人研修は、その時の新卒者と一緒に行われた。光源についてや器具について、それに調光制御や配光測定室での測定、照明工場での組み立て、照明計画以外でもあらゆることが行われた。しかし、照明に興味が無かった自分には、まったくと言っていいほどわからなかったのである。この研修が終われば、大阪にもどれるしか思ってなかったのである。しかし、大阪に戻ってきての仕事も当時の自分には、全く面白くなかったのである。バブル全盛期、2年後にオープンする新梅田シティや神戸ハーバーランドの照明計画スタッフとしての仕事が初めての作業であったのだが、する事は、A1の図面に円のテンプレートでダウンライトの位置を入れていくことであった。これが照明計画?これが光のデザイン?当時の自分は、毎日こればっかり、もうやめようかなあという気分であった。それを一気に目覚めさせるきっかけになったのが、新梅田シティのアトリエφ現場事務所にあるモデルに照明を仕込む作業である。光ファイバーを建築モデルにホットボンドで何百本とつけていく作業であった。朝一ではじめた作業は、夕方に終わりむかえた。会議室には、私たち以外いなかったので、事務所の照明を消して光ファイバーの電源を入れてみた。ただの厚紙で作った張りぼてのモデルが今まで、見たことの無い輝きで浮き上がっていた!思わず声が出るほどの衝撃を受けてしまった。あの時、照明デザインという魔法にかかった。



写真は、その時、自分が撮ったもの